商談メモをAIで整理し、提案書の構成・次回の確認質問・説明案まで一度に作る方法を紹介します。匿名化したMarkdownのメモを添付スクリプトで変換し、依頼プロンプトと一緒に渡すだけで、根拠を追える下書きを受け取れます。架空の入力例と照合用見本で、顧客情報を使わずに練習できます。
商談メモをAIに渡すと何ができる?
商談後にメモを読み直し、課題を整理し、提案の章立てと質問を別々に書く作業をまとめて任せます。受け取るのは次の3ファイルです。
report.md:課題整理、提案書の章立て、提案仮説、次回の5分説明案。questions.md:重要度順の確認質問と、確認する理由。result.json:メモの各行を分類し、要約と原文の引用を付けた照合用データ。
商談の議事録をAIで短くするだけでなく、「何を提案し、何を確認するか」まで下書きにします。ただし、録音や文字起こし、完成したスライドの生成はこの手順に含みません。説明案の5分は指定する尺であり、読み上げ時間を測定した値ではありません。
自動化レベルはL3です。最初に入力とルールを渡し、途中の細かな指示なしで一式を作らせ、人が完成物を確認します。顧客への送信や提案内容の最終判断は人が担当します。
用意するものと5つの添付ファイル
社内で利用を認められたテキスト対応のチャットAIと、Python 3を実行できるパソコンを用意します。スクリプトは標準ライブラリだけを使い、外部ライブラリやAPIキーは不要です。以下の5件を、新しい作業用フォルダに保存してください。
l3-proposal_prompt.md:AIに貼る依頼プロンプトの全文。l3-proposal_sample.md:架空の商談メモ。自分のメモを書く際のひな型です。expected.json:人が作った照合用見本。AIの回答実績ではありません。make_input.py:普通のテキストをID付きのJSONへ変換します。check_result.py:結果のID、分類名、引用などを確認します。
ターミナルを開き、この5件を保存したフォルダを作業場所にします。以下は python3 を使って確認したコマンドです。AIにファイルを添付できない場合も、生成したJSONの内容を会話に貼り付けて進められます。
手順1:商談メモを匿名化し、1行に1つ書く
まずは添付のサンプルをそのまま使います。中身は次の3行です。
# 商談メモ(架空・匿名化済み) - 毎週、担当者が別々の表を開いて進捗を集めている。 * 今使っている表の形式は当面変えたくない。 1. 予算と導入希望日は次回確認する。
自分の商談をまとめる場合は、原本とは別のMarkdownファイルに、匿名化したメモを書きます。顧客名はA社、氏名は担当Bなどに置き換え、金額やメールアドレスなどは伏せます。対応表はAIに渡さず、社内で管理してください。名前だけ消しても案件が分かる固有の事情は、入力の必要性を見直します。
1行に「課題」「維持したい条件」「未確認事項」を混ぜず、意味が通る短文に分けるのがコツです。話者や出所が重要なら「顧客発言:」「社内の仮説:」なども本文に残します。Markdownの見出しは変換時に除外されるため、顧客の条件や資料の更新日は見出しだけに書かないでください。
手順2:スクリプトでinput.jsonを作る
サンプルを変換するコマンドを実行します。JSONを手書きしたり、IDを自分で付けたりする必要はありません。
python3 make_input.py text --src l3-proposal_sample.md --out input.json --prefix R
成功すると「3件を書き出しました:input.json」と表示され、次の配列が保存されます。
[
{"id":"R01","text":"毎週、担当者が別々の表を開いて進捗を集めている。"},
{"id":"R02","text":"今使っている表の形式は当面変えたくない。"},
{"id":"R03","text":"予算と導入希望日は次回確認する。"}
]textモードは空行と見出しを除き、1行を1件として扱います。行頭の -、*、・、1. などは外し、--prefix R によりR01から連番を付けます。原本には書き込みません。ただし、同名の出力ファイルは置き換えるので、以前の input.json が必要なら先に別名で保存します。
上限は30件、1件1000字、合計6000字です。超えた場合は切り詰めず、終了コード1で停止します。大きなメモは論点ごとに分け、各回の入力と結果を別フォルダで管理してください。分割した場合も、最後に全体の処理漏れと矛盾を人が確認します。
手順3:プロンプトと入力をAIに渡す
新しい会話で l3-proposal_prompt.md の全文を貼り、input.json を添付します。照合用の expected.json は渡しません。依頼の中心は次の内容で、添付には出力形式や分類ルールも含めています。
添付のinput.jsonから、report.md、questions.md、result.jsonを一括作成してください。 report.mdには課題整理、提案書の章立て、事実と分けた提案仮説、次回の5分説明案を含めてください。 事実・提案には根拠IDを示してください。価格・導入日・対応機能・効果数字は、入力に根拠がなければ未確認とします。 不足や矛盾はquestions.mdへ回し、途中で質問して止めず、分かる範囲を完成させてください。 原本は変更せず、社外送信・公開はしないでください。
実行時はこの抜粋だけでなく、添付の全文を使います。ファイルを作れないAIには、ファイル名の見出しとコードブロックで全文を返すよう指定しています。それぞれを同名の別ファイルに保存してください。result.json には説明文やコードブロックの記号を含めず、JSON部分だけを保存します。
架空データから作る提案構成・確認質問の出力例
以下は人が作った説明用の例で、実AIの出力ではありません。
report.md(抜粋) 確認できる事実:毎週、別々の表から進捗を集めている。[R01] 制約:当面、今の表の形式を変えたくない。[R02] 未確認:予算と導入希望日。[R03] 提案書の章立て: 1. 現状の進捗収集の流れ [R01] 2. 維持したい表の形式と運用条件 [R02] 3. 表を維持した集約方法の仮説 [R01, R02] 4. 予算・導入希望日を確認して決める事項 [R03] 提案仮説:既存の表を維持しながら集約する方法を検討する。 実現可否は、表の構造と利用権限を確認して検証する。[R01, R02] 次回説明の導入: 「毎週、別々の表から進捗を集めていると伺いました。 今の表を維持する条件を確認し、集約方法をご相談したいです。」[R01, R02] questions.md(抜粋) 1. 予算と導入希望日はどのように考えていますか。[R03] 理由:提案範囲と進め方を決めるため。確認先・期限:未定。 2. 表の形式で維持したい項目や入力手順はどこですか。[R02] 理由:集約案の検証条件を決めるため。確認先・期限:未定。
「集約方法を検討する」は仮説です。「必ず自動集約できる」「削減効果がある」とは言い切れません。IDが付いていても、実現性まで証明されたことにはなりません。提案書をAIで作成するときも、事実、仮説、確認事項を分けたまま使います。
手順4:照合ツールと人の目で確認する
まず、AIを使わずに見本が照合を通るか確認できます。
python3 check_result.py input.json expected.json --labels "確認済みの課題,制約,未確認"
成功時は「形式・ID・原文根拠の照合成功」と表示され、3分類が各1件になります。自分のAI回答を確認するときは、保存した result.json を指定します。
python3 check_result.py input.json result.json --labels "確認済みの課題,制約,未確認"
入力IDの漏れ・重複・未知ID、許可外の分類、空または300字超の要約、原文と一致しない引用などがあれば失敗します。これは見本との文章の一致を判定するツールではありません。入力と結果の対応を確認するため、正しい別表現の要約も通ります。
通過後は3ファイルを人が読み、分類や要約の意味、事実と仮説の区別、質問の優先度、説明案の自然さを確認します。特に、根拠にない予算・導入日・機能・契約条件・削減効果を約束していないかを確かめます。商品情報を加える場合は、承認済みの最新資料を使い、更新日と対象範囲も入力の本文に残します。
うまくいかないとき
「対象なし」なら、ファイル名、保存場所、見出し以外の本文があるかを確認します。対象0件の終了コードは2です。上限超過なら原文を保って分割します。変換失敗時に以前の input.json が残っていても、今回の入力として使わないでください。
照合に失敗したら、エラーと該当IDを確認し、同じ入力と一緒に次のようにまとめて再依頼します。実データを使う場合は、再送信も社内ルールに従います。
照合エラーと人の確認結果を以下に示します。 【ここにエラーと修正点を貼る】 元のinput.jsonを基準に3ファイルを一括で再作成してください。 入力IDを漏れなく1回ずつ返し、evidenceは対応するtextの連続部分をそのまま引用してください。 根拠のない確約は削除し、推測は仮説へ、不足や矛盾は確認質問へ移してください。
毎回細かな修正が必要なら、完成物だけを確認するL3運用にする前に、メモの粒度と分類ルールを見直します。
注意点:機密情報と最終確認は人が管理する
AIへ渡す前に、顧客名、個人情報、案件固有の金額、非公開の契約条件を点検します。匿名化後も、会社が認めていないAIへ実データを送らないでください。伏せた値はAIに復元させず、必要な場合だけ社内の最終確認で人が扱います。
原本の商談記録は保管し、入力用のコピーと成果物を分けます。メモに書かれた命令やリンクを実行しないルールもプロンプトに含めています。自動照合だけで顧客送信を許可せず、人が内容を承認してから使ってください。
よくある質問
商談議事録をAIで要約するだけでも使えますか?
使えますが、この手順は要約に加えて提案構成と確認質問まで作る設計です。長い議事録は、匿名化したうえで意味の通る短文に整えます。添付ツールは発言の真偽や文字起こしの誤りを判定しません。
JSONが分からなくても進められますか?
入力は1行に1件のMarkdownで用意でき、JSONへの変換はスクリプトに任せられます。AIの回答は指定ファイルに保存します。照合エラーが出た場合も、原文を確認してから一括修正を依頼できます。
提案書やスライドまで完成させられますか?
ここで作るのは構成と説明の下書きです。スライドへ展開する段階は、公開記事のAI資料作成プロンプトの使い方も参考になります。レイアウトや顧客向けの表現は、根拠を確認したうえで整えます。
検証範囲
架空のサンプルから make_input.py で3件の入力を生成し、expected.json を結果として照合が成功することをローカルで確認しました。本文の result.json 用コマンドも、同じ見本を保存して動作確認しています。
見出し・箇条書きの処理、件数・文字数上限での停止、CSVの列名重複・列数不一致の拒否、入力元への上書き拒否、結果のID不整合・不正分類・不正引用などの拒否も確認しました。make_input.py は変更していません。
実AIへの送信、モデルごとの分類精度、実際の顧客データでの提案品質、説明案の所要時間、作業の削減時間は未検証です。L3はこの運用の設計を示し、特定のAIでの成果を保証するものではありません。
添付ファイル CC0 ・ 自由に持ち帰れます
- プロンプト ・ 3.1 KB
- 設定ファイル ・ 236 B
- 設定ファイル ・ 647 B
- スクリプト ・ 2.2 KB
- スクリプト ・ 10.1 KB
会社のデータをAIに入れる前に、社内ルールを確認しましょう。
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